2018/03/17

豊洲市場・追加床工事に関するJSCAさんへの質問書

本記事は送信控えです。 JSCAさんへのメールシステムは画像添付できないために、こちらへ画像含みの記事として記載しているものです。

また図面を入れ替えましたので、図の出典に関する文言が送信文から一部変更になっています。

なお、JSCAさんへの質疑、および報道に供する限りは、このページの内容複製・利用はご自由になさってくださいませ。

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日本建築構造技術者協会様

         「豊洲市場の追加コンクリート床に関する問い合わせ」


拝啓、
貴会 ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。

さて、東京都が進めております豊洲中央卸売市場が完成し、一昨年の末に検査済証が発行されました。 しかし土壌汚染対策のために、現在は地下ピットの砕石層の上にコンクリート床を追加打設すべく、工事が進められております。 この件に関しまして構造計算上で一点だけご教示をお願い申し上げたく、本状を送らせていただきました。

追加されたコンクリート床の断面図を以下に示します。この図は1級建築士の水谷氏が東京都へ開示請求されて公開されたものを見やすく書き直しました。なお基礎柱部と基礎杭は断面にしておりません。

(図面左クリックで拡大できます)


  (180401追記:工事写真から見てブチルゴム寸法はt20,h50に修正)


基礎柱の平面寸法は幅で約4mx4m、X・Y方向に12mスパンで1000本ほど配置されており、追加される床の厚みは25cmあり、各基礎柱の4面をぐるりと取り囲んで密着して打設されております。


追加床の打設範囲は、建物ほぼ全体にわたります。


以上のような場合の構造計算モデルは、市場問題プロジェクトチームが第3回会議で公開されたもの(出典 http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/shijyoupt03/06_datousei.pdf )を参考にして、追加床を緑色で追記し書き直した下図の左に示すようになると思います。
(基礎柱と追加床は断面表示でモデル化しております)


なお、上部構築物のモデルは変更がありませんので、記載しておりません。

また、基礎柱と追加コンクリート床は鉄筋で締結されておりませんので、密着部分にクラックが入るかもしれません。クラックが入れば、追加コンクリート床は地面には接しているものの、基礎柱に対して上下に相対移動が可能なローラー接続になろうかと思います。



そこで当方がお伺いしたい質問です。

『どちらのモデルの場合におきましても、杭+基礎に印加される地震力は、当初計算されたものに【追加床重量x水平震度0.1】が追加される』と考えておりますが、この考え方は合っていますでしょうか? あるいは間違っていますでしょうか?

おいそがしいところ、まことに申し訳ございませんが、なにとぞよろしくご教示くださいますよう、お願い申し上げます。

敬具
堂場きみ子


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180318追記
JSCAのホームページから問い合わせの確認返信が届きました。システムが自動的に返信したものです。

180406 14:35追記 JSCAさんからのお返事は、まだいただけていません。
         以降は、お返事をいただいた時に追記します。

2018/03/07

【豊洲市場耐震疑惑】<追加土間コンの水平地震力が杭に悪影響?>

【追加土間コンとは】

「豊洲市場に土壌汚染対策の盛り土がなかった」ことへの追加対策で、専門家会議が地下ピット全面に追加工事するように提案し、東京都が工事追加を決定し、設計会社が設計したもの。



【追加されている土間コン断面図】
(水谷氏が開示請求し公開された土間コン床の設計図を見やすく書き直しました)


   (180401追記:工事写真から見てブチルゴム寸法はt20,h50に修正)

この土間コン打設に関しては、森山氏がすでに第9回市場問題PT(平成29年5月24日)第1次報告書案75ページで、杭への耐震性不足疑惑を予言されていた問題です。(下記引用)
しかし東京都はこれを無視し続け、再検討結果はPTへ報告・公開されていません。

>引用
③巨大化した基礎および杭との接合方法の関係で耐震設計上の杭の強度に質疑が呈された。
これに対し日建設計より「問題ないように対処している」との供述があったが、具体的な数値をもって説明資料を求めたい。
(理由)
i)その理由は一部の杭が検定率ぎりぎりと目されるからであり、現状以上の建物全体での積載荷重の増加は難しい可能性があるためである。
ii)そのため今後の豊洲市場の円滑な運用のための補強設計や補強工事に影響を及ぼし、さらには地下空洞底の湧水遮断工事等での積載荷重の増大にかんがみ、場合によっては上部構造の一部を減築して対処しなければならないおそれがある。


(出典引用)http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/shijoupt09/04_houkokusyoan.pdf


【問題になる地震力とは】

建築基準法施行令第88条地震力に定義されています。そこでは1次設計における、建物各部に印加される水平地震力が規定されています。

豊洲市場の構造計算では、簡単に表記しますと以下のように構造計算されています。
地震力=上部構造重量x0.2+基礎梁部重量x0.1

しかし、追加の土間コンの重量が増えましたので、基礎梁層に印加される地震力は下図のように増加します。

   地震力=上部構造重量x0.2+基礎梁部重量x0.1+追加床重量x0.1


【追加される地震力の計算と結果】<仲卸棟の場合>

そこで当方が計算してみました。

モデル化:フーチングとはローラー接続(下図参照)
鉄筋でフーチングと締結されていないので、フーチングと密着してい
た部分に微細なクラックが入った場合を想定。両者は上下に相対移動
が可能だが、水平方向には相対移動が不可能。

土間コン重量:200,379kN(約2万トン)<少ない目に評価(詳細後述)
土間コンの水平震度=0.1 (土壌接触として、1ランク減じる)

土間コンによる地震力増加量=重量x水平震度=20,038kN
元のピット層地震力=651,817kN(確認申請の構造計算書に記載数値)

従って土間コン追加によるピット層地震力の増加率は3.1%
これが基礎柱経由で基礎杭に印加される。

もともと構造計算書には、杭の検定比0.97〜1.00の杭が約4割ほどある。
言い換えれば、安全率余裕がほとんどない状態であった。
(構造計算書を開示請求してチェックされた高野氏のカウント)

従って多数の杭で検定比1.00超えが発生し、違法状態になるのではないか?



(基礎柱、追加床およびローラーは断面表示です)

なお、上図は市場問題PTが第3回会議で公開された図を参考にして、当方が土間コンを緑色で追加し、全体を書き直したものです。なお、上部構築物のモデルは変更がありませんので、記載しておりません。
(出典引用)http://www.toseikaikaku.metro.tokyo.jp/shijyoupt03/06_datousei.pdf


 【計算概要】
1)冷蔵庫棟除外
2)面積は森山氏ブログの図から算出
3)卸棟との接続部は除外
4)フーチング部4mx4m部分は積から除外
5)追加厚15cmと25cmの所は半々で、鉄筋重量除外と日建設計にやさしく^^)
6)比重は2.3



【計算詳細メモ】

使用平面図は森山氏ブログから、6区仲卸棟
https://ameblo.jp/mori-arch-econo/entry-12181631290.html

x座標
①柱 90
㉛柱 708 差618 30スパンx12m=360m
④柱 156 ④㉛との差552 27スパンx12m=【324m】

y座標
上辺 186
下辺 448
長さ 324x(448-186)/552=【154m】

12mスパンに対するフーチン面積割合 4x4/12x12=11%

コンクリート 平均厚=(25+15)/2=20cm
(これは善意に甘い目、少ない目に計算しています)

コンクリート体積=324mx154mx0.89x0.2m=8881m3
比重 2.3
コンクリート重量=8881x2.3=20,426トン

1kNは約0.102トン
9.81kN=1トン

コンクリート重量=20,426トン=200,379kN
加算地震力=200,379kNx0.1=20,038kNが追加

ピット層地震力
構造計算書 651,817kN
土間コン敷設後は、651,817+20,038=671,855kN
増加比 3.1%



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(追記)180314
市場のあり方戦略本部(第4回 平成29年6月16日)議事録
5頁、澤中央卸売市場次長発言より

「なお、コンクリートを敷き詰めることによる建物構造上の問題につきましては、複数の外部専門家に問合せを行いまして、問題のないことを確認しております。」

さて、誰に聞いて、どんな根拠で問題なしとしたのだろうか?

この時点では、まだ土間コンの設計はできていないはず。 外部専門家は以下を把握せずに判断したのかな?
①検定比1.00の杭もあり、安全率余裕がない
②基礎柱に密着して打設

http://www.shijou.metro.tokyo.jp/shijouarikata/pdf/04/giziroku.pdf


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参考情報1

ここに「にいがた住宅センター」が作成された「構造計算適合判定の審査事項について」の解説があり、確かに切り離されておれば追加土間コンの重量による地震力は杭柱に印加されない。しかしこの図でもわかるように、「切り離された明確な隙間」が存在している。
(出典) https://www.nphcc.or.jp/anzen/tekihan/p19.pdf






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参考情報2

下図は物理を選択した高校1年生の期末テスト初級問題(コロの慣性は無視可)。
解ければ、土間コンでも重量による地震力が基礎杭に印加されるのが理解可能。

<回答>
 Aの場合、F=Gx(M1+M2)
 Bの場合、F=GxM2 建築主事さんも解けるはずですよね〜 ^^)


<解説・高校物理・慣性の法則>
Bの場合、停止している子亀は外部から力を加えられないから動かない
子亀を動かすための力=加速度x質量
Aの場合、親亀に密着していると上記力が子亀に伝達され、その反力が親亀に発生
土間コンは子亀に似ています ^^)

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参考情報3<クラックが発生した場合の影響>

(1)クラックがない場合(平面図)

各基礎柱間の中線(今回は目地加工線とほぼ一致)を境界として、Y柱に密着している2・3・6・7(黄色)ブロックの重量x0.1がY柱に影響する。
各ブロックの重量をW、土間コンによるY柱への水平地震力をFとすると、
土間コン地震力F=0.1x4xW


(2)基礎柱密着部・目地部にクラックがあり、建物が右へ振られる場合

2・6ブロックはY柱から引き離される引張力が発生して、X柱への地震力へ影響するので、Y柱からは無関係になるが、3・7ブロックはY柱に押され、4・8ブロックは3・7ブロックから押されるので、3・4・7・8ブロックがY柱に慣性力とその反作用として影響する。
土間コン地震力F=0.1x4xW  これは(1)と同様値


(3)基礎柱密着部・目地部にクラックがあり、建物が左へ振られる場合
上記(2)と同様で、Y柱には1・2・5・6ブロックが慣性力とその反作用として影響する。

土間コン地震力F=0.1x4xW これも(1)と同様値

なお、今回は特にクラックの発生しにくいコンクリート成分で土間コン各ブロックが打設されており、各ブロック内には鉄筋も組まれているのでクラック幅寸法は数ミリ程度以下と想定される。一方、基礎柱の地震変位は1次設計の構造計算から約2cmと計算されており、クラック寸法より十分に大きくて上記現象に影響をおよぼさない。

<接触面での圧縮応力と、コンクリートの圧縮強さ>

「追加土間コン重量約2万トンx0.1」の地震力が1000本の基礎柱
2000t/1000本=2t/1本
接触面積=400cmx(25-5)cm=8000cm2=0.8m2
接触部の圧縮応力=2t/0.8m2=2.5t/m2
一般的なコンクリート強度=21N/mm2=2.14kg/mm2=214kg/cm2=2140t/m2
衝突現象がない限り、接触面では圧壊しない。



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参考情報4<なぜ土間コンは重量・地震力の検討不要と言われやすいのか?>

 引用>http://drawing.tamakana.com/03_/3031/

<一般的な土間コンクリートの特徴は、
①大抵の場合、耐圧盤に比べて厚さが薄い
②構造体として地中梁とは繋がっていない(重要!)
地中梁とは縁を切っている為、地中梁と土間コンクリートとの間には絶縁材が入ったりします。>


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参考情報5<土間コンで、間違われ易い表現の事例>

引用>http://imayomu-kentiku.jp/?p=1610

<土間コンクリートは地面に支えられたRC床のことです。地面の上に置いてあるRC床。地盤に直接荷重が伝わるなら、その部材に応力は作用しません。ですから、土間コンクリートは構造計算をしないのです。>

豊洲市場の事例では、基礎柱に接触しており、慣性力(地震力)の圧縮力が基礎柱に伝達されますので、構造計算に加味する必要がありますね。

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参考情報6<他にも耐震性疑惑があります>

以下のURLに詳細を記載いたします。
豊洲市場・施行令88条地震力算出の瑕疵疑惑
http://kimikodover.blogspot.jp/2018/03/88.html

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参考情報7

なお、この件に関してJSCAさんにご教示いただこうと、質問メールを差し上げています。
(参照)豊洲市場・追加床工事に関するJSCAさんへの質問書
http://kimikodover.blogspot.jp/2018/03/jsca.html

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追記180401

本記事の最初に掲示した追加床の断面図で、ブチルゴムの深さ方向寸法75mmと記載している部分ですが、実際の工事中の拡大写真を見ると50mm近辺でした。目地用の浅いものと兼用になっています。


           (左クリックで拡大できます)

      (出典)東京都・豊洲市場・追加対策工事の状況・3月8日
   http://www.shijou.metro.tokyo.jp/toyosu/tsuika/situation/index.htm


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追記180402 【都職員もごまかし説明か】

<各務氏とツイッターでのやり取り記録>


返信先: さん、さん、さん
今都市場技術担当課長から電話あり 1.2016年12月28日に建築確認完了  この時、日建設計が安全側で計算していた杭検定比を見直して修正し検定比は下がった。 2.基礎の表面を傷つけずに土間コン打設し、基礎と土間コンの摩擦が小さいので地震時でも杭への地震力は増加しない 3. 続
https://twitter.com/kuninosaiseiwo/status/976684042648039424


返信先: さん、さん、さん
承前 3.杭検定比がいくらに低下したかについては回答を待って欲しい(期限は決められない) との事でした。 確認申請が軽微な変更でないかどうかも明言を避け、とにかく16年12月までに申請内容をきちんと修正したそうです。 建築確認の内容が改ざんされていないか心配な内容でした
https://twitter.com/kuninosaiseiwo/status/976686539261460480



返信先: さん
日建設計が基礎と土間コンの摩擦の事を、つまり、基礎の表面をはつって凸凹にしなければ密着させて土間コンを打っても構わないと言った(建設技術課長)そうですから、じゃあ、摩擦係数がいくらならと建築基準法に記載があるのだろうか 日建設計がまたまた得意の自社基準を作ったのか
 https://twitter.com/kuninosaiseiwo/status/980415642087014401

返信先: さん
垂直方向の地震振動なら、日建設計の論旨には矛盾ありません。これは基礎柱と土間コンの接着力が弱くて境界面が乖離し、両者は垂直方向に相互に無関係に動き得るからです。この状態は添付モデル化図の、(境界面に)クラックが入った場合のローラー接続の場合に相当します。 (続く)
 https://twitter.com/Kimiko_Dover/status/980433649303658496
返信先: さん、さん
しかし水平方向の地震振動では、このローラー接続でも基礎柱と土間コンは相互に干渉しあって圧縮力が伝達されますので、土間コンの重量による水平地震力は基礎柱に加算されますね。 なお1次設計の地震力は施行令88条の「標準せん断力係数」の言葉のごとく水平方向の力を扱っていますね。(続く)
https://twitter.com/Kimiko_Dover/status/980434782722039808

返信先: さん、さん
JSCAも日建設計と同じような誤魔化し回答をすると想定していましたので、アタシは両方のモデル化図を示し、「どちらのモデルの場合でも、、、」として逃げ道を塞いだ質問にしています。 もう一度技術課長さんに水平地震力で質問していただいた方が良さそうですね。 JSCA質問>
https://twitter.com/Kimiko_Dover/status/980435735437131776

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追記180402 <当時の都職員さんは土間コンの危険性を認識していた>

ツイッター記事から、、、


今回の入札不調は、地下水管理の問題じゃなくて「杭が折れる」問題じゃねーの?豊洲新市場の杭はギリギリ一杯で「土間コンは杭から離すから大丈夫」が都の説明。ところが水谷さんの問題提起は、土間コンを地面に載せることで側方流動が起き杭に影響するというもの。これが本当の問題じゃね?





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追記180411 【再度の確認申請をしないことによる違法疑惑】

建築基準法施行規則第3条の2【計画の変更に係る確認を要しない軽微な変更】

法第6条第1項(法第87条第1項において準用する場合を含む。)の国土交通省令で定める軽微な変更は、次に掲げるものであって、変更後も建築物の計画が建築基準関係規定に適合することが明らかなものとする。(以下略)

豊洲市場は軽微な変更に該当しませんね。建築主事の計画変更確認が必要です。


建築基準法第6条
1.建築主は、、、これらの建築物の大規模の修繕若しくは大規模の模様替をしようとする場合又は第四号に掲げる建築物を建築しようとする場合においては、、、確認の申請書を提出して建築主事の確認を受け、確認済証の交付を受けなければならない。

これには違反している可能性が高いですね。